結界師

 

結界師(1) (少年サンデーコミックス)
 

 

学生時代、帰り道に本屋で立ち読みしていたのを思い出しながら、懐かしく読んだ。学園モノ+能力者というありがちな組み合わせながら、烏森というミステリアスな存在と結界術という柔軟性のある能力が35巻に及ぶストーリーに骨太な世界観を与えている。絵のうまさ、キャラクターの性格、妖のデザイン、ストーリーのテンポと伏線の回収、細かいディテールに至るまで週刊誌とは思えないクオリティに仕上がっている。週刊誌での執筆ゆえ、後半のストーリーは後付け(のように思われる)設定が増えていくのは仕方ないが、それでも腑に落ちるように伏線を回収していく様はは圧巻。逆に謎の設定と伏線の回収を詰めきらないがゆえのスピード感、いい意味でのあっさり感が本作のバランスの良さに繋がっていると思う。ギャグパートの脱力感も心地よい。

 

ラストの展開はこれ以上ない終わり方で名作だと思う。後日譚で物語を締めるあっさり感も、作者が本作と適切な距離を置いているというか、キャラクターに感情移入しすぎることがない故の妥当なストーリー展開をひたすら続けることのできた作者の立ち位置を感じさせるものだった。

 

最後に言わせてくれ、正守かっこええ。